『54歳のハローワーク+アラウンド定年の就活ハンドブック』-集英社

プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®
竹内康代/吉川紀子 共著

【おわりに】
「食べて、働いて、生きて」。これを今回のテーマと決め、一所懸命に書きすすめました。
あれ、映画のタイトルのようですか?
すみません。でも、一番伝えたかったのは、「自由に働けることへの感謝です」です。50代でまた就活?と暗くなりがちなイメージを、打ち砕きたいと思っています。女性は80歳まで生きるとしたら、50歳なんてまだまだじゃない、これから自分らしく働くにはこんな方法もある。こんな人たちも頑張っていますよと、今、仕事を探している人たちを明るく励まし、応援したいと思ったのです。

この同時期、3ヶ月くらいの間に、数人のJAL早期退職者の女性から再就職相談を受けました。どの方も前職に誇りを持ち、企業を愛し、退職から数カ月たった今も、とめどなく涙が流れるほど退職を残念に感じていらっしゃるようでした。ここまで、自分の前職や元会社を思えることは素晴らしいなと、正直感心しました。ここで、転職を決めた誰にもお願いしたいのは、これまでの30年間をいい思い出にするために、いままで培った経験やスキルを他社、違う業界で自分がどう生かして活躍するかを考えてほしいのです。自分に誇りを持ち、未来を恐れず羽ばたいてほしいと思います。

また、最近とみに思うのは、女性はみな最後に「おひとりさま」になるということ。独身だから、子どもがいないから、離婚したから孤独なのではなく、家族がいても同じです。自分で働いて生きていければ、長生きした先に、いずれ誰にも気兼ねせずにおひとりさまを満喫できるということです。おひとりさまで生きていく醍醐味は、有名な企業勤めだったとか、何々家の奥様だったなどという肩書ではなく、自分がどんなふうに生きてきて、楽しかった、苦しかった、面白かったがいっぱい詰まった、思いっきり生きた記憶と経験からくる充実感でしょうか。仕事は本気で探せば見つかります。企業に勤めなくても生きていけます。自分らしく生きるために、仕事を選んでみて下さい。元気なら何か社会とつながること。私は今これをやるのだと言って、毎日こつこつ続けましょう。それが、あなたの仕事と言えるのですから。

最後に、年金の算出では社会保険労務士・産業カウンセラー宮田亭子様に多大なご協力を頂戴いたしました。

株式会社キャリア・ブレーン代表取締役白根陸夫先生には、キャリア・カウンセラーとしての知識、ノウハウを一からご教授いただきました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

なお、文中に登場する人物名、事例は、多くの相談内容からヒントを得た架空のものです。特定の誰かではありませんので、過去相談された方もご安心ください。

明日からまた、私はキャリアカウンセラーとして、仕事で悩める人たちの相談に乗り、励まし、通るための履歴書の添削、受かるための面接のアドバイスに励みます。特別でない私だからこそ、皆さんのつらさや、心細さがそのまま理解できると信じて。

キャリアカウンセラー/エイジング・アドバイザー竹内康代

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